江戸時代の百科事典、『和漢三才図会』に「泉州より多く産す。古くは泉州をちぬ茅渟のあがた県と称えたり、故にこれを名とす」とあるように、昔は大阪湾にチヌ=クロダイが沢山いて「ちぬ茅渟の海」と呼ばれ豊かな海だったろうと想像できる 実際、一時期急速に進んだ海岸の埋め立てや生活排水の流入による水質の汚染で貧弱になった生物相も、近年下水道の整備や住民意識の向上などで、少しずつ美しくなってきており様々な生きものたちが水辺へ戻ってきている。 大阪湾は瀬戸内海の東端にあって湾口を淡路島によって塞がれたような形になっている閉鎖的な湾といえる。しかし、黒潮の支流が東沿岸沿いに紀伊水道を北上し湾内に入り込んでくるので、暖流性・外洋性の生物が現れる可能性も高い。